岩塩型構造の酸化第一鉄(FeO)の圧力温度誘起金属転移の解明

70万気圧、摂氏1600度を超える高圧高温下において酸化第一鉄(FeO)が構造変化を伴わない絶縁体−金属転移を起こすこと、また、その金属転移が従来提唱されていたものとは異なる新たなメカニズムによるものであることを高圧高温実験と理論計算の両手法を用いて、世界で初めて発見しました。
FeOは地球のマントルや外核の重要な成分であるため、マントル深部の圧力温度条件で存在しうるFeOの金属転移はマントルと核の電磁気的な相互作用を強め、地球の自転に影響を与えている可能性があります。また、固体物性物理の分野においても新たな絶縁体−金属転移機構の発見は、物質の中でも電子どうしの間に働く有効な電磁気的な相互作用が強い状態(強相関電子系)の理解を更に深めることも期待されます。
詳細は阪大ResOU 2012年1月13日の記事をご覧ください。

なお、本研究成果は2012年1月12日発行のアメリカ物理学会出版「Physical Review Letters」誌に掲載されました。

Kenji Ohta, R. E. Cohen, Kei Hirose, Kristjan Haule, Katsuya Shimizu, and Yasuo Ohishi, “Experimental and Theoretical Evidence for Pressure-Induced Metallization in FeO with Rocksalt-Type Structure” Phys. Rev. Lett. 108, 026403.

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