研究の方法

水素化物を合成するための出発原料は、元素と水素である。

原料となる元素を水素とともに高圧力発生装置:ダイヤモンドアンビルセル(DAC)に封入して圧縮し、高圧力条件下でレーザー加熱等により目的の水素化物を合成する(図1)。

この手法はこれまで多く用いられてきたが、限られた水素化物にのみ合成の報告がされ、他の多くの水素化物は報告がない。これは水素を扱うことに難しさにくわえ、適切な合成(加熱)手法の探索が重要であると着眼した。したがって、低温下の加圧、ジュール加熱など新規な合成経路および合成法にチャレンジする。
原料元素が複数となる3元系の水素化物にはさらに高温の超伝導が理論予測されているものがあるなど、様々な金属水素化物の中から理論計算と精密結晶構造解析により候補物質を見極め、高温高圧合成を行う。
これらと同時に、高圧装置内でデバイス形状に成型した超伝導体を合成し、高圧力下の超伝導デバイスの構築を行う。圧力下で動作する超伝導デバイスの研究はこれまでほとんど行われていない。
既存超伝導体を用いた動作検証により、圧力下超伝導デバイス構築のノウハウを確立させ、高温超伝導体を超伝導材料としてデバイスへ組み込む。

(図1) 超伝導水素化物合成法の模式図