高圧力を測定する方法の一つにルビー蛍光法があります。ルビーにレーザー光を照射すると蛍光を発します。この蛍光の色が圧力をかけることで変化していくことを利用して圧力を測定します。DACの試料と一緒にルビーの微小片を封入し、顕微分光でその蛍光スペクトルを測定します。
グラフは実際の測定例で、横軸は波長、縦軸は強度です。2本のピークが観測されます。
2本のうち強度の高い長波長側のピーク(R1線)の波長$\lambda$に対して、X線回折実験によって測定した金属(Cu、Moなど)の格子定数から状態方程式をもちいて圧力$P$を決定し、フィッティングして得られた関数が報告されていますのでそれを利用しています。
\[P=\frac{A}{B}\left[{\left({1+\frac{\Delta\lambda}{\lambda_{0}}}\right)^B-1}\right] \]
ここで、$\lambda_0$は常圧での波長です。また、$A$は$P$が$\Delta\lambda/\lambda_0$に比例するとした場合の常圧での傾きに相当し、$A=1904~\mathrm{GPa}$です。$B$は圧力の発生条件によって異なります。
標準的な実験:$B=5$
わたしたちが通常おこなっている電気抵抗測定などでの条件で使用できます。
出典: H. K. Mao, P. M. Bell, J. W. Shaner, and D. J. Steinberg, J. Appl. Phys. 49, 3276 (1978).
doi:10.1063/1.325277
疑静水圧条件:$B=7.665$
圧力伝達媒体にアルゴンを用いた場合など、静水圧性が高めな場合に使用できます。
出典: H. K. Mao, J. Xu, and P. M. Bell, J. Geophys. Res. 91, 4673 (1986).
doi:10.1029/JB091iB05p04673
特に静水圧性が高い条件:$B=7.715$
圧力伝達媒体にヘリウムを用いた場合などに使用できます。
出典: C. S. Zha, H. Mao, and R. J. Hemley, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 97, 13494 (2000).
doi:10.1073/pnas.240466697